第1805回
仕入れに歯の立たない日本人

私たちが雲南省で
コーヒー園の開発を思い立ち、
先ず現地の視察からはじめましょうと
このコラムで呼びかけたら
すぐ30名ほどの人が集まりました。
雲南省政府と連絡をとってもらい、
先ず雲南省の副省長さんと面会し、
その指示で、産地の保山市の副市長さんが
ホテルまで面会に来てくれることになりました。
副市長の楊経建さんは
ホテルでコーヒー栽培の現状を説明し、
現地の案内のために
部下を2人残して行きますという話でしたが、
ホテルで朝食をとっている私たちのところへ来て、
私の隣りの席に坐ると、
ものの10分もしないうちに趣旨を変えて、
自分が先頭に案内しますと言い出しました。

コーヒーの栽培に興味を持った人が
こんなにたくさん来たのははじめてだ、
それも遠い日本から
わざわざ来て下さったのですからというのが一つ、
もう一つは私が10年計画でやろうと思ってきたのです
と挨拶したのが第二の理由。
実は副市長さんも
この仕事を軌道に乗せるのに10年はかかると
かねてから思っていたのだそうです。

おかげでパトカーを先頭に、
私を乗せた副市長さんの車が続き、
(狭い山道をバスでは登れないので)
そのあとに一緒に来た皆さんが
20台のタクシーに分乗して
1時間半もかけて
海抜1500メートルの山中にあるコーヒー畑まで
デモンストレーションでもするような形で続いたのです。
田舎では滅多に見られない光景なので、
たちまち村中の評判になってしまったのはいいのですが、
農民も含めて中国人は
欲に抜け目のない人ばかりですから、
「金持ちの日本人がやってきたぞ。
 みんな、コーヒー豆を安売りするな。
 みんなで売り惜しみをすれば、
 コーヒー豆の値段が上がるぞ」と
こちらがまだ何もしないうちから
もう身構えて待っているのです。
そんなところへ掛け引きになれていない日本人が
のこのこ出かけて行って、
仕事になるわけがありません。
中国でのビジネスの難しさは
幕をひらいたところから
もう既にはじまっていたのです。


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