第1824回
私の著作権と肖像権はこんな目にあいました

最近は知的財産権のことが
しきりに問題になっています。
私なども自分の著書の海賊版に
しょっちゅう悩まされてきました。
或る時、北京のうちのオフィスに勤めている女の子が
「サインをしていただけませんか」と言って
私の本を持ってきました。
見ると、私も見たことのない私の本です。
「これ海賊版だけど」と当惑しながら、
それでも私はサインをしてあげました。

その話を同業の物書きにしたら、
「邱センセイなんか
 サインさせられただけですからいい方ですよ。
 僕なんか台湾に行って
 本屋で自分の本の海賊版を見つけて、
 お金を払って買って帰りましたよ」
と言われてしまいました。
私も2、30年前は台湾で
全集の海賊版まで発行されましたが、
最近は先進国の仲間入りをしたので
海賊版はすっかり姿を消したようです。

最近は海賊版が出ているのを見て、
いままで何の関係もなかった人が
アメリカやヨーロッパの著者から
翻訳権をもらって来て、
海賊版の出版社と
それを並べて売っている書店をおどかして
高額の賠償金を要求する
悪質な脅迫行為がふえています。
著作権法ができて、
違反者は刑事事件に問われるようになったからです。

その点、中国はまだ
完全に取り締まりが徹底しておらず、
本の著作権も音楽の著作権も
まだ野放しになっています。
私が一番ひどい目にあったのは、
或る時、成都で本屋に入って、
黄金の三角地帯と呼ばれる
中国とタイとミャンマーにまたがった地域で
阿片の栽培をしているところがあります。
そこのボスのことを書いた本があったので、
何気なく手にとって見たら、
何と表紙の写眞が
私の顔になっているじゃありませんか。
いくらご本人の写眞が手に入らなかったからと言って、
どこから手に入れたか知りませんが、
私の写眞を阿片王の代わりに使うとは
どういう了見でしょうか。
訴えるにしても
どこからどうはじめたらいいかわからないので、
とうとう時間の淘汰に任せるよりほかありませんでした。
これが10年前の中国で身を以って経験した
私の知的財産権の実態でした。


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