第1839回
地方の時代はもう終わったのです

何十年も前に
「地方の時代はもうない」
と言う一文を書いたことがあります。
もともと日本では「住めば都よ」というように
地方に住んでいても
都にあこがれる人ばかりで、
田園文化はありません。
その日本で工業化がすすみ、
それが都市及び
その周辺の新興工業地帯に仕事を求めて
地方から人口の大移動が起ったので、
日本国内が過密地帯と過疎地帯に
二分されてしまいました。
そこで地方の時代は一回終っています。

ところが、その後、地方は
もう一ぺん息を吹きかえしました。
過密地帯と過疎地帯に二分されても、
まだ工業化のスピードがおちなかったので、
人手不足におちいった産業界が
梃子でも動かない地方に
根の生えた人々の手を借りたいばかりに、
地方に工場を建てはじめたのです。
おかげで本来なら
草茫々になっている筈の田舎の道路沿いに
大都市周辺と同じ近代設備の工場が建ち、
大都市と同一賃金で
仕事にありつけるチャンスが生じました。

「でも、こうした僥倖は長くは続かないでしょう」
と私は予言しました。
日本の賃金は既に
アメリカをしのがんばかりの水準に達しており、
日本で生産を続けても
「原料高の製品安」に直面して、
日本の最も効率の高い工業地帯で生産を続けても、
採算割れをする時代に入ると思ったからです。
そうなったら、工場の大移動が起ります。
その場合、どこから工場閉鎖をはじめるかと言えば、
もっとも効率が悪くて賃金も決して安いとは言えない
地方からはじめるにきまっています。
総司令部のある本社もしくは本社工場から見れば、
国内にあっても国外にあっても、
本社から離れていることは同じで、
コストが半分ですむところと
本社と同じところでは、
どちらが袖にされるかはきくまでもないことです。

かくて工場の海外進出がはじまると同時に
地方の時代は終わってしまったのです。
仕事はなくなっても人間はまだ生きています。
地方でやる仕事が消えてしまったのですから
いくら政治家たちに頼んでも、
無い袖をふることはできません。


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