第1875回
上海の抗日デモを見て考えたこと

中国では政府主動のデモや、
黙契のデモ以外のデモが行われることはありません。
したがって警察か軍隊が
統制力を失ったデモになったら
収拾がつかなくなって大へんな騒ぎになります。
ところが、最近は地方に行くと、
中央の眼が届かないところで、
役人が人民の意向を無視した愚策を強行したり、
汚職行為をしでかしたりして、
それが暴動にまで発展する事件が激発しています。
そういう場合も、
実際に暴れるのは暴動の首謀者よりも、
失業者やわけのわからない農民たちなど
ふだんから生活に不満を持った人たちです。
そういう暴動が発生するのは
私たちが予想もしないような
地方の小都市や農村ですから、
今回の反日、抗日デモが
成都からスタートしたのと、
何となく符合します。

それがあッという間に
全国に波及した動きになっていますが、
たまたま上海でデモのあった日、
私は上海に居合わせておりました。
上海の人はデモに馴れていませんし、
また日本人がたくさん住んでいるところで、
日本企業から恩恵を受けている人も多いので、
子供の火遊びのようなことに
賛成するとは思えません。
私もどんなデモをやるのだろうかと期待していたら、
うちの日本語学校などには
警察から予め学院は休みにして下さいと
通知がありました。
当日になると、主催者は誰かもはっきりせず、
人も思うように集まらず、
高速道路に警察が車を入れさせず、
狩り集めた人たちが一列に並んで
虹橋の日本人の
一番たくさん住んでいるところを目指して行進をし、
日本料理の看板の出た店のガラスを割って歩いて
それで終わりになりました。

台湾から来ていた私の知人たちは
「デモでは台湾の方がずっと先輩だな。
 連日のように何万人ものデモをくりかえしているけれど、
 ガラス窓1枚割ったりしないものね」
と幼稚な光景に対して
遠慮のない批評をしていました。
デモは民主主義の所産ですが、
中国ではデモもまだ形をなしてはいないようです。
だから安心だというわけには行きません。
デモが一変して暴民化し、
自分たちが何をやろうとしているのか
前後がわからなくなってしまうことも
あり得るからです。


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