第1889回
上等なすし屋の並ずしを注文しよう

ではこれからの日本のどこに
新しいスキマがあるのでしょうか。
安売りをしても
消費者が見向きをしないとすれば、
高級品なら売れるのでしょうか。
この数年間、東京に次から次へと
世界の有名ブランドが進出して
話題になっているのを見れば、
そうした傾向があることに
疑いの余地はありません。

しかし、不景気で
失業もそれに負けない動きを示しています。
お互いに矛盾した傾向が共存しているのです。
したがって安売りの次は高級品の時代だと
単純に断定することはできません。
強いて言えば、
安物の安売りは終ったけれども、
高級品の安売りは
まだ時代の潮流にはなっていないということです。

もちろん、そんなに単純に
高級品の安売りがはじまるわけではありません。
高級品は安売りの対象にならないのが常識で、
安売りをされるようになったら、
高級品でなくなってしまいます。
ではどうするかというと、
お買い得な新しい高級品を
つくることはできないものかと
メーカーが知恵をしぼることになります。
有名ブランドのシャトーが
次々とセカンド・クラスのワインを
売り出しているのが、
ヒントになると思います。

シャトー・マルゴーでも、
シャトー・ロトシルトでも
皆セカンド・クラスのワインをつくっています。
超一流のワインは新しい年の物でも
1本2万円もしたり、3万円もしたりします。
ふだん飲むのにはゼイタクすぎると
お金のある人でも考えこんでしまいます。
そこで以前は手をつけなかった
同じラベルの安いワインを飲んで見ると、
意外に口当りがよくて、
これなら無名の安物ワインより
かなりましだと気がつきます。
考えて見れば、
上等のワインをつくっていたメーカーが
安く売るために
わざわざ手を抜くわけがありません。
ちょうど安いすし屋の
上(じょう)のすしを注文するよりも
有名なすし屋の並ずしを注文したほうが
うまいすしにありつけるのと同じリクツです。
産業界ではこういうところに
まだスキマが残っているのではないでしょうか。


←前回記事へ 2005年5月12日(木) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ