第2062回
帝国主義を葬ったのは工業国日本です

戦後の日本は基本的に
原料と食糧の輸入国であり、
製品の輸出国であります。
はじめは貧乏で原料や食糧の輸入代金も
ロクに支払えなかったので、
やりくりをするだけでも大へんでした。

でも輸出がかなりすすんで、
輸出代金で輸入品の支払いをしても
余りがあるようになると、
日本は貿易収支の黒字国になり、
だんだん金持ちの国に
ランクされるようになりました。
それはどうしてかというと、
工業生産はその過程で多くの付加価値をもたらし、
そのもたらす儲けは原料に支払うお金に比べて
何倍にも何十倍にもなったからです。
たとえばお米をつくるために
多くの労働力を要しますが、
工業生産によってつくられる自動車一台で
どれだけのお米に換えられるかということになると、
自動車の生産のために使われる労働力が
生み出す付加価値と
お米の生産のために使われる労働力が
生み出す付加価値の差が歴然と現われます。
安い原料を使って
高く売れる工業製品がもたらす富は
食糧を生み出す農業や魚をとってくる漁業や
土の中の鉱石を掘り出してくる鉱業などの原料を
取り扱う産業とは
比べ物にならないくらい高いのです。

戦前は工業がまだそれほど発達しておらず、
工業がもたらす富についての学識がなかったので、
どこの国の指導者たちも
資源の確保にこだわりましたが、
日本が工業生産に必要な原料を
お金で買うようになると、
資源国と加工国の地位が
ほとんど一変してしまいました。
まだ加工国からの注文が僅かだった頃は
はっきりしませんでしたが、
加工国からの注文が原料供給国の景気を
大きく左右するようになると、
原料供給国の輸出業者は
加工国の発注者の顔色を見て
仕事をやるようになったのです。

つまり資源もなく植民地も持たない日本の方が
羊毛や材木や石油や石炭や
鉄鉱石の供給をする原料国よりずっと
発言権を持つようになったのです。
帝国主義をこの世から葬ったのは
植民地がなくとも金持ちになる道を発見した
日本だと私は見ています。


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