中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2141回
成熟化した後も日本は依然として金持ちの国

バブルがはじけてから
あッという間に17年の歳月がたってしまいました。
景気が悪くなって物も売れなくなるし、
デフレでさんざ痛めつけられたので、
企業も個人も生き残りをかけて
歯を食いしばって頑張ってきました。
日本人は金持ちになったという意識よりも
貧乏になったという意識の方が
ずっと強いのですが、
日本人のこうした自意識は
日本人には実感があっても
外国では全く通用しません。

地価が10分の1まで下がって、
倒産が続いたと言っても、
日本人の一人当りのGDPは
依然としてアメリカと1、2を争っているし、
対外貿易も大幅黒字が続いています。
外から見たら、日本は世界でトップを争う
金持ちの国なのです。
なぜならば一ぺん金持ちの国になり、
トップレベルの収入を得るようになると、
社会全体の富の生産が機能を失わない限り、
財産が目減りすることはあっても、
所得のレベルを維持することができるからです。

なるほど時価が下がり、
潰れる企業も続出しましたが、
失業しない限り所得は減らないし、
貯蓄も減ってはいません。
そのレベルは依然として
世界のトップに位置していますので、
世界中が豊かな日本人の懐中を狙って
セールにやってきます。
世界中の有名ブランドが日本に押しかけてきて、
銀座や表参道に立派な店構えをしただけでなく、
地方都市にまで進出したのは
何とバブルがはじけてから後のことでした。
日本人にブランド志向が強いこともさることながら、
何と言っても日本人の財布の中が
依然として豊かだからです。

地価も下がり、
ゼネコンも不況をかこっていますが、
その中にあっても家を建てかえたり、
新しいマンションを買って
移り住む人は決して少くはなく、
私の散歩道に並ぶ家を見ても
気がつかないうちに一変してしまいました。
成熟社会になったから
それでおしまいというわけでなく、
成熟社会なりの新しい変化があとに続くのです。
だからあとは死を待つばかりと早とちりせず、
次はどう変わるかをよく観察することが必要です。


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