中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2142回
スーパーより百貨店の地下がハヤっています

日本はバブルがはじけても、
お金を生む能力がおちない限り、
依然として金持ちの国であることに
変わりはありません。
過去の蓄積がストックとして残っていますから、
新しい車を買ったり、
新しい服を買うのを控えたとしても、
貧乏をして買えなくなったわけではありません。
もともと買うお金も持たない国の人と違って、
買うお金を持っているのですから、
買う気を起させる物を提供すれば、
物は売れるのです。
そこが金持ちの国と貧乏な国の違いです。

日本人はバブルがはじけてから
もう10何年も節約を強いられてきました。
はじめは安い物の方がよく売れました。
おかげでスーパーや
ディスカウントショップの全盛時代が
10年以上も続きました。
でもこんな状態が長く続くと
大抵の人が節約疲れで嫌気が射すようになります。
上等な物を買うお金がなければ
ガマンするよりほかありませんが、
お金は持っているのですから、
もう少しましなお金の使い方をしたくなります。
その一番手が毎日食べるお惣菜です。
肉でも魚でも野菜でも、
もう少し奮発すれば
うんとおいしい物が手に入ります。

小家族の時代になったし、
中年から上の夫婦2人暮らしの家庭で
少し上等な素材を買ったからと言って
将来の暮らしに困るような出費ではありません。
皆が倹約に走った当初はスーパーが流行って、
デパートの地下の食品売り場は値段を見て
通りすぎてしまう人が少くありませんでしたが、
昨今はデパートの高級な食品売場の方が
スーパーよりずっと
人だかりがするようになりました。
少々くらい奮発しても
家計に響くわけでもなし、
どうせなら豊かな生活をする方が賢いと
日本国中の人たちが思うようになったのです。

成熟社会は貧乏社会ではありません。
少し馴れてくれば、
人々は上手にお金を使うことを
覚えるようになります。
そういう人々のお金の使い方に合わせた商品や
サービスの提供のできる人たちが
次の時代の産業界のチャンピオンになるのです。


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