中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2143回
治安の悪い国の必需品は何かを考えよう

成熟社会になりますと、
失業者は却ってふえますが、
それは仕事がないからではなくて
働く側が仕事の選り好みをするからです。
むしろ働いてくれる人がいないために、
お金を払いたくても見つからない
ということが起ります。

そういう社会では福祉制度が行き届いていて
失業したら失業保険金がもらえますから、
人々は働くよりも保険金をもらう方を選びます。
それでは都市の運営がうまくいきませんので
どこの先進国でも後進国から
キケン、キツイ、キタナイ仕事を
こなしてもらうための人を連れてきます。
するとそういう人たちに長く居坐わられて
騒動を起したり、治安が悪くなったり、
貧民窟ができたりして
頭痛のタネになってしまいます。

日本人には割合に排外的なところがあって
後進国からの入国を
かなりきびしく制限しているので、
アメリカやフランスやドイツのような移民の問題を
抱え込んでいませんが、
それでも不法滞在者が年々ふえて
恐らく100万人などという数字では
きかなくなっているのではないでしょうか。
日本人も自由に
外国へ行ったり移住したりすることが
できるようになったのですから、
不法滞在者の数がふえるのを
防ぎきれなくなる時は必らずきます。
それは国内が犯罪の多い国になることを意味しており、
それを防ぐことが社会的な目標の一つになり、
新しい産業を生むきっかけになると思います。

いまから30年ほど前に私は
色んな会社のコンサルタントをしたことがあり、
その中の一社の社長さんから新規事業について
相談を受けたことがありました。
私は
「鍵をつくって日本一になったらどうですか」
とすすめたのですが、
その会社は石油ストーブをつくっていたので
既存の設備をそのまま使える仕事として
スチール家具を選びました。
石油ストーブでもスチール家具も
高度の技術を要しませんので参入する企業が多く
たちまち猛烈な競争になって
四苦八苦してしまいました。
いまどんな人もポケットの中を
鍵の束でふくらませていない人はいないのですから、
もしあの時点で
精巧な鍵のメーカーになっていたらと
私も残念に思っています。


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