中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2154回
日本の不動産開発会社が一社もないわけ

不動産開発は
高度成長下の有望産業の一つですが、
もう一つ思い切って
すすめる気を起さない理由があります。
中国の場合
(恐らく東南アジアの他の地域でも
 似たり寄ったりでしょうが)
思わぬトラブルが続出して、
地元の人たちでも
頭を抱えているのをよく見かけます。
地元の人でも解決できないくらいですから、
私たちのような他所者では
立往生してしまいます。

先ず建築のための許認可への対応も大へんなら、
建設会社の選択や工事の監督も
容易ではありません。
何しろ日本のようなゼネコンがなく、
開発業者が自分がゼネコンの役割を
はたさなければなりません。
そのために工事の監督をやとっても、
監督をまた監督する人がいないと、
業者と結託して
すぐにも手抜き工事がはじまります。
銀行の融資をとりつけても
法令がしょっちゅう変わるし、
ローンの取りきめをしても、
実施をする前に変更されてしまうのが
珍しくありません。
日本から進出したゼネコンが
一社もちゃんと定着していないのを見ても、
また日本の不動産開発会社が
全く活躍していないのを見ても、
先進国の企業では
歯の立たない世界であることがわかります。
ですから何か都合の悪いことが起ると、
開発業者がすぐに逐電してしまいます。
契約をしてローンの支払いもはじめたのに、
開発業者にドロンされてしまうことは
よくあることです。

私が上海の浦東でビルを建てた時は、
家賃が建てる前は1平米1日2ドルだったのが
建ち上がった時は20セントまで大暴落していました。
建築許可を出す政府に
需給に対する見通しが全くなく、
計画性もないので
市況の変化をまともに受けてしまうのです。
ですからうまく波に乗った人は
たちまち成金になりますが、
逆風を受けた途端に夜逃げをしてしまいます。
中国の不動産の動きは株によく似ており、
「昨日大名、今日乞食」ということがよく起ります。
それでもバクチでうまく当れば
大金持ちの仲間入りをすることができます。
それでもあなたはイチかバチか賭けて見ますか。


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