中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2178回
香港の個人所得税は15パーセントだけです

先にもお話ししましたように、
香港はことしの2月11日から遺産相続税を全廃しました。
もともと香港は自由貿易区で、
輸出入には一切、関税をかけませんでしたので、
中継港としてずっと栄えてきました。
のちに酒煙草と自動車に限って
税金をかけるようになりましたが、
いまもって消費税はありませんし、
所得税も個人は15%だけ、法人は17%ですから、
アジア中で一番税金の安い地域と考えていいでしょう。

一年に百億円収入があっても、
税金は15%だけですみますから、
お金儲けのうまい人はすぐ大金持ちになります。
また法人所得税と個人所得税に僅かな差しかありませんから、
資本金2ドルで会社をつくって
あとの運転資金は全部、株主からの借入金にしておいても
ちゃんとうまくまわって行きます。
会社にお金を貸しつけても、
逆に役員が会社からお金を借りても
税務上の制限がないのです。
資本金にしておくと、会社を解散しない限り
払い込んだ資本を取り崩すことはできませんが、
役員からの借入金である場合、
いつでも返済することができるからです。
また会社を設立するにあたって
営業目的をいちいち記入する必要がありません。
営業に特別の資格や条件を必要とする医者とか建築師とか、
銀行や証券会社のような業種は
その筋の許可が必要でありますが、
すべての営業は原則自由になっているからです。

ついでに申せば、税務署の調査もありません。
税務の申告はその企業の担当をしている会計師が
全責任をもつことになっており、
万一、不足がバレると
会計師が処罰されることになっています。
会計師は節税の相談には乗ってくれますが、
非合法なことはいくらたのんでも目をつぶってはくれません。
そもそもそんなに高い税率ではありませんから、
納税者の方も無理な冒険なんかやる必要がないのです。
それでも香港の人は税金は高いと思っているし、
節税についていつも知恵をしぼっていることに
変わりはありません。


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