中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2179回
なぜ香港政府は相続税を全廃したのか

香港にはずっと遺産相続税はありましたが、
贈与税はありません。
日本では奥さんや子供にお金をあげても、
色々と難しい規定があって、
一年に一定の金額をこえた贈与をすると
累進税率で贈与税を払わされます。
香港では贈与税はありませんので、
身内どころか、縁もゆかりもない人にお金をあげても、
払う人も貰う人も税金をかけられることはありません。

ですから、どこの家でも
生前に財産は予め分配してしまいます。
それでも相続税を払う人があるのは、
自分の家族さえ信用できない人間不信の人か、
まだ死ぬ積りでなかったのに突然、
死に見舞われた人ということになります。
そういう人が払う相続税は年に18億ドルていどで、
個人から見たらバカにならない金額ですが、
政府から見れば取るに足りない金額です。
政府にして見れば、そんな僅かな収入のために
税金の取り立てをするセクションを設けるのは
あまり採算に乗らないことでもありますが、
思い切って相続税を全廃した方がすっとメリットがあります。
相続税がないとわかれば、
香港の住民は胸を撫でおろしますが、
よその国の人がそれならお金は香港に持って行って
香港から投資をしようかと考えるようになったら
しめたものです。

世界中と言わないまでも、
アジア中の金持ちの人たちがもし自分たちの持っているお金を、
必要な分だけ手元に残して、
あとのお金を香港に動かす氣を起したら、
それだけでアジア中に資金の大移動が起ります。
折りしも、高度成長下の中国で資金需要の旺盛な企業が
次から次へと香港の証券市場に上場する動きが活発になっています。
昨2005年度だけでも、
中国からの上場企業が香港市場で集めた資金は
香港ドルで1600億ドル
(1香港ドルは15円)にのぼると言われており、
この動きは年と共にふえる方向にありますから、
投資の対象に事欠く心配はありません。
アジア中の資金が集まれば、
それだけで香港の存在価値はグンを抜くことは目に見えています。
しかも香港では配当金に税金はかからないので、
まるまるポケットに入ります。


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