中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2192回
日本のはたす役割をもっと正しく認識しましょう

日本はアメリカやヨーロッパの先進国に比べて
とても微妙な立場におかれています。
それはアジアの国の一つなのに、
欧米の国々と同じ先進国の側に組み入れられているからです。
欧米の国々は異端者を見るような目で日本を見てきたし、
アジアの他の国々は羨望と嫉妬の目で
日本を自分たちから区別して見てきました。
かつて植民地支配が行われていた時代に、
日本は侵略される側ではなくて、
侵略する側の帝国主義国と肩を並べていたので、
ネズミの方ではなくて猫の側と思われてきたのです。

そうした日本の立場を私は
「日本人はアジアの蚊帳の外」というタイトルで
本に書いたことがありますが、
日本の次に韓国と台湾が後に続き、
やがて中国がまたその後を追うようになると、
日本はその先輩格として後輩の面倒を見るか、
それとも前科を問われて
仲間に入れてもらえないようになるのか、
かなり微妙な立場におかれています。
日本人自身が必らずしも
自分たちのそうした微妙な立場を自覚していないので、
「蚊帳の外」という意識すら持っていない
と言ってよいかも知れません。
まただからこそ靖国問題で
もめたりすることにもなるのです。

昨日の続きの今日のことですから、
そう簡単に気持の整理はできませんが、
過去にこだわるより
未来の日本の理想的な立場を頭に描いて
それに近づくような手を打つことが、一番効果的であり、
また理想的な形だと私は思っています。
そうなると、日本は高度成長の先輩であり、
いまは成熟社会になっていることが最大の売り物です。
つまり後輩の範となり、
またその指導のやれる立場に自分をおくことが
後輩から慕われ、大事にされる元手になっています。
進出企業や民間の交流では
明らかにそういう流れになっています。
それが政治家の手にかかると
そうならないのはどうしてでしょうか。
政治家が過去にばかりこだわり、
未来に眼が向いていないからではないのでしょうか。


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