中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2201回
家の中のゴミ置場をふやしましょう

「住居スペース倍増運動」が
政府主導の運動になって建設ブームが起ったら、
産業界は息を吹きかえします。
雇用がふえたら、建築資材の売行きがよくなるだけでなく、
住宅スペースがふえた分だけ
無駄なショッピングをしても
おくスペースがふえるからです。

もうどこの家も物を置くスペースがなくなっています。
新しい家具を買いたくとも、
古い家具の置き場所がありません。
仕方がないから
古い家具を引きとってもらうことを条件にして
新しい家具を買います。
家具屋はずっと昔から
こうした商売の仕方を受け入れてきました。
しかし、家具以外の小道具から電気製品、
洋服ダンスの中にびっしりつまった流行遅れの衣料などは
いまも家中をゴミ置場にしています。
ゴミ置場の中にいないと落着けないという人が
たくさんいるのです。

「物を捨てる術」について書いた本が
続々ベストセラーズになります。
でもそんな本を読んでも
その通り実行する人はほとんどいません。
実行しないどころか、
読み終わったその手の本がまたゴミになって
本棚の脇にある本の山の上に重なります。
人は死ぬまで
不要になったゴミの中で生きる習慣を持って生きているのです。

ですから人々に物を買わせようとすれば、
「物を捨てる本」を読ませるよりも
ゴミを置くスペースをふやすように仕向けることが
ずっと効果的です。
「住宅スペース倍増運動」は
そうしたゴミ置場を倍増する運動でもありますから、
物がよく売れるようになって、
それが景氣を刺戟することになるのです。
新しい家具や日用品や衣料が売れるだけではありません。
そういうスペースができれば、
次に人気を呼ぶ商品は
いままでと同じものではありませんから、
素材からデザインまで人々の買物意欲をそそるような
新しい物に変わります。
成熟社会の進歩とは
そういうきっかけをつくることによって促進されますので、
政府がその推進者にならなければ、
誰かがその役割を買って出る必要があります。


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