中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2200回
成熟社会では住宅スペース倍増運動を

日本の国が不景氣になったのは
物ができすぎて日本人が物を買わなくなったからです。
物を買っても容れるところがなくなってしまったからと言っても、
必らずしも言いすぎではありません。

もともと好景氣とは
物がよく売れてお金がよくまわるということですから、
無駄使いであってもかまいません。
人には無駄使いをするようにあふり立てて、
自分はしっかり財布の紐を締めてかかる人が
金持ちになるのです。
政治家は誰が金持ちになろうと、
好景氣を維持することができればいいのですから、
物がよく売れる環境づくりに専念すればいいのです。

そういう意味で
まだ日本の国で改善する余地の残っているのは
人々の住んでいる家くらいなものです。
バブルがはじけて政府が景氣振興策で苦悩した時、
私は所得倍増ではなくて
住居スペース倍増運動を起したらどうですかと
提案したことがあります。
「兎小屋に住んでいる」
とバカにされたことがありましたが、
住んでいるところをいまの倍にすることに
反対する人はほんの一握りしかいません。
「いい家を建てませんか」
と言ったテーマを取りあげた本は
ここのところ、ずっとベスト・セラーズを続けています。
私も興味を持って何冊か読んでみましたが、
つまらないことが書いてあるだけで、
いい家に住みたいと考えている人たちの要求を
ほとんど充たしていません。
最近は古い家のリホームをする番組が
テレビで人気を呼んでいます。
いまも住居で悩んでいる人がたくさんいますので、
我が身に照らして眞剣になって見入っている話をよくききます。

こういう時に次に首相になる人が
住居スペース倍増運動を起したら、
池田勇人さんに負けないだけの実績を
残すことになるのではないでしょうか。
そのために思い切って税金を負けてあげても、
それによって景氣が刺戟されれば、
消費税収入も法人税収入も鰻上りに上がって
消費税を引き上げたりしなくとも
充分間に合っておつりが来るのではないでしょうか。


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