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第2231回
表参道の人ごみの中を歩いた私の感想

六本木ヒルズについで、いま表参道ヒルズが
ジャーナリズムを賑わしています。
ここのところずっと中国やインドを渡り歩いていたので、
オープニングには立ち合えませんでした。
森ビルの社長、森稔さんがはじめて私の家に遊びに来られたのは、
昭和四十四年のことですから、もう三十七年も前の事です。
その頃はまだ独身でお父さんの仕事の片腕をやっていましたが、
いまは日本の開発業界の最先端を走る人として、
次々と日本を代表する名所の開発に力が入っています。

表参道ヒルズの開発については大体の説明を受けていたので
私の頭の中には入っていましたが、
インドと昆明の旅から帰ってきた私は、
ちょうど桜の眞盛りの土曜日に久しぶりに表参道を歩いてみました
ラルフ・ローレンの新しい店のオープニングもあって、
歩道も車道も混雑を極めていましたが、
昔々の表参道の古びたアパートを知っているだけに、
パリのシャンゼリゼよりももっと賑やかになった通りを
歩いて見て、改めて世の移り変わりに感激無量でした。

私はブランド商品の信奉者ではありませんが、
若い時に香港に住んでいたのと、
はじめてパリに行った時に家内のためにエルメスで
ハンドバッグを買った機縁で、
世界のブランド商品とは一通り馴染みがあります。
通りを歩いてみると、私がパテックの腕時計をはずして、
着るジーパンに合わせていつの間にか腕につけるようになった
タグ・ホイヤーの腕時計の店も表参道にあるし、
表参道ヒルズの中で大きなスペースを占めているD&Gの洋服など
まさかこの私が身につけていると思う人は少ないでしょうが、
ジャケットだけでも四、五枚は持っています。

でもいずれも一般の若い人には高価すぎて、
成熟社会とは言いながら、大多数の人に馴染まれる
流行商品になると私は考えていません。
店の前を通る人は大へんな数ですが、何十万円もする
ジャケットを買う人はそんなにいるわけがありません。
世界の名ブランドはどう考えても
日本人のふところを誇大に評価しています。
成熟社会の本当のヒット商品は
もっとレベルを下げてみんなのふところ具合に
合ったところに新しく生まれてくるだろうと私は見ています。


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