中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2248回
なぜ温州に世界の有名店が並んでいるのか

少し時間を見つけて温州というところへ行ってきました。
約一年ぶりのことです。

どうして温州に行きたがるかというと、
ご承知の通り温州は世界のファッションの有名ブランドの
OEMをやっているところで、
温州の町を歩いていると、
ダンヒルとかBOSSとかヴェルサーチなどの
有名店が軒を並べているだけでなく、
それらの有名店の間に
温州の無名店がお互いに区別のできないような
氣のきいたデザインの商品を
5分の1とか、10分の1くらいの安い値段で売っているからです。

たとえば、いま中国ではジーパンが庶民の間に普及していますが、
温州では切地もカッティングもあまり変わらないジーパンが
1本2千元(1元15円)から70元までの値段で
隣り合って売られています。
もちろん、よく見れば、
70元と2千元では切地に優劣の差はあります。
でも地元ブランドの高級品で150元から200元くらいの物になると、
切地にほとんど違いはありません。
またデザインにしても、
同じメーカーが有名ブランドの下請けをしているわけですから、
カッティングや模様や刺繍にもほとんど違いはありません。
それでいて値段に天と地ほどのひらきがあるのは、
ヨーロッパで売られている有名ブランドの値段と
温州の地元で作られているOEM製品のコストに
大きなひらきがあるからです。
その差はザッと見て10倍の違いがあります。

有名店のジーパンにはヨーロッパ並みの値段がついています。
だからお客がほとんど入っていません。
なのにどうして店をひらいているのかはじめは理解に苦しみました。
何回も行っているうちにその謎は解けました。
有名店の加工をしているメーカーは
商品を売るためではなく、
加工の下請けを見つけるために世界中からやってくる
有名店のオーナーたちに見せるために
店をひらいているのです。
お客は買ってくれる人たちではなくて、
注文を出してくれる人たちだったのです。


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