中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2298回
中国銀行株の香港上場が意味するもの

去る6月1日、
中国銀行が香港で上場されました。
1社だけで740億香港ドルの資金を香港で調達したのですから、
ほかの株を買って中国銀行株に乗りかえる動きもあって、
中国銀行株だけが上がって、
他の株が逆に下がるという珍しい現象が生じました。
中国銀行株の取引が初日だけで58億株もありましたので、
どんなスケールのことが起ったか、
大体の想像が着くと思います。

割り当て価格は1株が2.95ドルでしたが
初値が3.15ドル、終り値が3.4ドルでした。
先ず香港中の資本家達がその割り当てに応じ、
日本でも三菱東京UFJも応募していますから、
香港で何が起こったかということより、
今後、香港を中心として世界のお金が
どういう動きをするかを象徴するものだと考えて下さい。

中国の四大銀行のうち
中国建設銀行がトップ・バッターをつとめましたが、
中国銀行に続いてあと二つの銀行の上場が控えています。
中国の銀行はいずれも国営から出発しており、
同じ国営の他の大企業に
政府の意向で融資をさせられたので、
不良債権にさんざ悩まされてきましたが、
上場前に国の資金で汚れを洗い落とし、
きれいな身体になって株主の前に姿を現わしました。
世界中のこれはと思う名門銀行が
資本参加をしましたので、
今後はそうした大株主の目も光っており、
銀行近代化の道をひた走りに走ることが期待されています。

折りしも中国の経済全体が
高度成長のさなかにありますので、
資金に対する需要も旺盛だし、
企業が生む利益を銀行が金利という形で
分け前に預かる立場にあります。
銀行の利益は
ふえる方向にあると考えて間違いはないでしょう。
従ってことしは銀行が証券市場の花形をつとめますが、
まだスタートしたばかりですから、
配当は株価に比して
期待はずれに低いと思わなければなりません。
それでも資産株にランクされますから、
投資家の間で
そういう扱いを受けるようになることは間違いありません。


←前回記事へ 2006年6月25日(日) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ