中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2324回
成長株買いのきっかけになった東江環保

私の中国株を見る目が一流株から成長株に変わったのは、
ほんの偶然のきっかけからです。
前にも述べましたが、
私のところへは色んな人が
新しい技術や企画を持って相談に来られます。
見込みのありそうなものについては
私が真剣になって実現のお手伝いを致します。
どんな場合も、私は謝礼を要求しませんので、
気楽に相談に来ることができます。

最近、持ち込まれた話の1つに水処理の技術があります。
「もしもしQさん」の中でも、
それがきっかけで、
何回か栗田春夫さんの話や中国の水処理にふれましたし、
また上海市の汚水処理場の見学にも行きました。
そのあと中国で最大のスケールを誇る
天津市の開発区の
汚水処理システムを見学するチャンスにも恵まれました。

いくつもの汚水処理場を見たり、
既に上場している汚水処理や廃棄物リサイクルや
上水道システムを手がけている企業のデータを見比べているうちに、
私はいくつかのことに気づきました。
汚水処理や廃棄物処理は清掃車と同じように
政府が引き受けざるを得ない汚れ役なので、
どこの土地でもやむを得ず、
政府が資金を出して施設をつくり、
そこへ役人の古手を横すべりさせて運営しています。
処理費用はすべて予算の中から支出されていますので、
何とかやりくりがついていますが、
役人あがりの経営ですから効率は悪いし、
収益も低いし、
企業としての成長率もほとんど見込めない環境におかれています。

しかし、廃棄物も汚水も
経済の成長と共に急増する方向にありますから、
やがて官営もしくはその下部組織では
対応していけなくなることは目に見えています。
その一方で、取締まりはきびしくなっていきますから、
そうした時代の傾向に対処できる民間企業が
どうしても必要になります。
目を皿のようにして探しまわった末に
やっと探しあてたのが
深圳で廃棄物処理を専業にしている東江環保でした。
3年前にH株に上場したばかりの小っぽけな会社でした。


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