中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2330
時代が変われば政府も変わるのが自然の流れ

一党独裁で自分たちの利益を守ってきた共産党政府が
自分たちの特権を自分たちで放棄することがあるものか、
と中国を敵視する人たちはすぐにも反論するにきまっています。
でも2つの中国にあくまでも反対で、
場合によっては「戦争をも辞せず」
と強硬な態度を貫いてきた北京が
最近は「平和的な解決ができなければ」
と穏やかな口調に変わったし、
またとりあえずは
現状維持を暗黙の前提にするようになったところを見ると、
遠謀深慮の働く事態がうしろに控えているからではないか
と憶測がでないこともありません。

帝国主義の時代に諸列強に蚕食されて
ズタズタになった中国をただ軍事力によって
強力に1つに統一することには無理があります。
一国両制もそうした方向を
緩和するために考え出された妥協案ですが、
台湾をはじめ、西蔵や新疆などの自治区との摩擦を
うまく調整するためには、
もっと地方自治を尊重したゆるい統一が必要になります。
いまの独裁的な中国政府に
そうした融通性があると信ずる人はほとんどいないでしょうが、
そこへ全国60区画分割説が出てくると、
誰だってびっくりしてしまいます。

しかし、本当のことを言うと、
政府だってずっといままでのやリ方を
維持して行けるわけもないし、
国民の平均所得が上昇すれば、
政府に対する期待も要求も変わるわけですから、
時代にうまくあった機構や体質に変わっていく必要があります。
またそれでなければ政府そのものが成り立って行かないのです。
そういう意味で地方分権の上に中央政府があるのが理想であり、
そうした連邦制をつくりあげることは
胡錦涛の悲願であるばかりでなく、
使命でさえあると言ってよいでしょう。
中国では余計な事を言うと、
唇が寒くなるので、
黙って事の成り行きを見ている人の方が多いのが当り前ですが、
もしそうした形が次第に明確になってきたら
長い間の争点が一挙に片づくし、
アジアにも新しい時代が来るのではないでしょうか。


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