中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2336回
知恵のない役人の口出しが多すぎます

ずっと述べてきたことからもおわかりのように、
中国の近代化に必要なのは
何千年来続いてきた官僚専制の改革であって、
共産主義の独裁制ではありません。
共産主義へのさよならよりも
東洋的専制官僚制との訣別の方がずっと難しいのです。

何しろ中国の役人は
人民を支配するのが自分たちの権限だと思っているので、
企業や個人の細かいところまでいちいち干渉します。
そうすることによって、人々のあらを探がし、
おまんまの手段にします。
最近で言えば、
政府の金融引締め政策にも拘らず、
不動産への投資が年30%増といった動きが起っています。
それを抑えるために、
政府が新しく打ち出した手は一つは
1戸当り100平米以上のマンションの建設を制限することであり、
もう一つは外国人が
中国の不動産に投資することを一時禁止することです。

建設業者がどんなスペースの建物を建てるかは
資本主義の国なら市場に任せるのが常識です。
大きなスペースに対する需要があれば、
業者がそれに対応するし、
もし対応の仕方を間違えれば、
業者が損をさせられます。
それが一番正確且つ効率的な対応なのです。
それなのに、中国の官僚は自分たちの貧しい判断で
業界に言うことをきかせようとするのです。
また外国からの資本が
不動産の上昇をあてこんでドッと流入したら、
不動産投機が加速化されるから、
一時、それを停止するというのでは、
政府の一方的な都合で、
既存の対外政策をイージーに変えることになります。
そのくらいのことで朝令暮改するのでは、
とても安心して中国投資などできません。

こう言った幼稚な政策が
法令一本でできてしまうということは
官僚支配に徹してきた古い中国が
まだ経済発展の大きな障害になっているという好例になります。
こうした障害を打破するためには、
経済がもっと発展して
障害がどこにあるかを中国の人たちが認識する必要があります。
すぐには解決できませんが、
経済の発展によって社会環境が変わり、
人々の常識が変わるのを待つよりほかありません。


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