中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2365回
株式投資を工場見学から始めたのは私です

モスクワを旅行していた時でしたか、
観光バスの中にいた私の秘書の携帯電話に
北京から「常茂生化というバイオの会社の株が
朝から20何%も大暴落しています」
というメールが入ってきました。
上海に戻ったら、
上海邱友会の人たちを案内して
工場見学に行くスケジュールになっていたので、
心配して情報を送ってきたらしく、
「どうしたのでしょうかね」と秘書が憂い顔で私にききました。
「どうしてだか、きいてごらん」とききかえしましたら、
しばらくして「今日、ことし上半期の業績発表があって、
予想に反して前期比、利益増が17%しかなく、
好業績を期待していた株主が裏切られたと感じて投げたらしいです」
と返事が返ってきました。
当日の売物がGEM銘柄にしては珍しく1200〜300万株もあって、
私に提灯をつけて株を買った連中が
気を顛倒させているとのことでした。

火事で工場が全焼したというなら別ですが、
どんなわけで利益が鈍化したのか、
まさか会社に電話してきくわけにも行きません。
大抵の株主が情報不足でおろおろしているのと違って、
私の場合はちゃんと工場見学をして、
経営者からその抱負もきいていますから、
少々くらいのことでは驚きません。

「今日、捨て値で買った人はきっとあとでホクホクしますよ。
北京の連中にもお金があったら買うように言ってあげなさい」
と私はロシアの旅に同行している人たちにも、
ニュースを伝えました。
モスクワから帰ると、工場見学に行く予定の人たちは、
その人たちなりに常茂生化の株を買っていたからです。

私も大衆株主の一人ですが、
わたしは45、6年前に株をはじめた頃から、
工場見学をしたり、経営者の話をきいたりしてきました。
普通の人にはできないことですが、
私は自分を納得させるためにそういうやり方をやってきました。
それまで兜町で売った買ったをやっていたプロたちは
相場の気配だけを見て勝負に出ていました。
その点、工場を見、経営者に会っているのといないのとでは、
安心感に格段の相違があります。


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2006年8月31日(木)

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