中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2385回
国境を越えた人材の確保は先ず教育から

寧夏回教自治区は石炭とアルミの産地ですが、
工業の発展が遅れているので、
見るべき産業がなく、
出稼ぎに区外に出る人がかなりおります。
でも手に職を持っていないと、
単純労働か、農家の作業にしか従事できないので、
高賃金は望めません。
そういう人たちに専門教育をすることに
ここの政府は特に熱心で、
中学を出てから入学のできる専門学校が40何校もあります。

省長さんと会談をした時、私がその事にふれると、
「そんなにたくさんあるかね?」
と省長さんは居並ぶ幹部の方を向いてきいたくらいですから、
ご自身はあまり意識していなかったようです。
「ハイ、44校あります。」
と即答した部下の方は
恐らく職業教育のことでいつも走り回っていたに違いありません。

その日から二日かけて私たちは職業学校まわりをしましたが、
どこの学校の校長先生も
「うちは就職率100%です」
などと自慢していましたから、
卒業生がちゃんと職にありつけるかどうかは
先生たちの最大の関心事のようでした。
農業学校に至っては、
入学募集のパンフレットの中に「勉強から就職まで」
と就職の世話まですることを謳い文句にしていましたから、
日本のように農家の後継ぎのいない国にとっては嘘のような話です。
日本ではいまでこそ
外国人労働者をシャット・アウトしていますが、
農地は耕作する人がいなくなって荒地化すると、
元へ戻すのに大へんな費用と時間がかかります。

何も農業だけのことではありません。
日本人の若者がやりたがらないために、
人手不足に悩んでいる業界で、
今回、私について銀川市の現地視察に参加された方々は、
ご馳走を前にして手も足もでない自分を発見して
かなりショックを受けていたようです。
でも私はいまがちょうど準備の時期で、
長期計画で着々と手を打って行けば、
そのうちに国をまたいでやる人材派遣が
必らず芽を出す時が来ると信じています。
そのためには人材の確保だけでなく、
必要な人材の教育からはじめる必要があると
痛感して帰ってきました。


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2006年9月20日(水)

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