中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2402回
スリルを味わう覚悟できていますか

まだGEMに上場したばかりの若い会社の経営者たちの中には、
株の上場に不慣れなだけではなく、
株主の扱い方にも無知な人が少なくありません。
上海棟華の董事長がまさにそういう人の一人で、
俄かにお金が儲かりはじめて、
設備不足を解決するための
資本の調達に悩まされるようになったので、
増資資金の提供を申し出た
ベンチャー・キャピタルの話にとびついたのだと思います。
でなければ株価が1株2.2ドルまで買い上げられた時に
いきなり1.1ドルの第三者割当を平気で発表するわけがありません。

それに対して、
「それじゃ株主の立場はどうなるのですか」
と抗議を申し込まれたら、
「そういえばその通りですね。
 ならば、株主にも割り当てるように致します」
と訂正したところを見ると、
無知なだけで悪意があってやったことでないことがわかります。
本来ならば株は何のために上場されているかというと、
必要な時に株主に資金調達に応じてもらうためです。
昔は額面で資金調達するのが普通でしたが、
時価発行が当り前になってからは、
先ず株主の応募を優先し、
株主が棄権した増資分を第三者に割り当てるべきです。
これなら株主から文句は出ません。
ところが、新世界中国の場合は
時価よりうんと安い値段で、
会社の方が一方的に割り当てを発表してしまいましたので、
折角の株価が
その値段まで引きづりおろされてしまいました。
株主が割り当てに応じなかった分を
親会社が引き受けることを前提とした価格設定だったので、
私はこの会社はずるいと考えて、
持株を全部叩き売ってしまったことがあります。

上海棟華がどういう処理の仕方をするかはまだわかりませんが、
この会社はまだ若い会社で
あと数年はいまの勢いで高収益が続くだろうと
一般に見られています。
会社側の言った通り安値で株主にも割り当てるとすれば
増資が完了してもしばらくは
安値を低迷することも覚悟しなければならないでしょう。
それでも未来があるということであれば、
株を持ち続けるかどうかは
皆さんがご自分で判断するよりほかない
ということになります。


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2006年10月7日(土)

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