中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2401回
GEM株の中には株に無知な経営者も

上海でアスファルトの販売を手がけている上海棟華は、
昨年の7月にGEMに上場したばかりの小さな会社ですが、
昨2005年度は前年度に比べて
売上げが20%ちょっとふえただけなのに、
利益は何と倍以上も伸びています。
それがことしの前半期だけで
利益が178%も伸びていますから、
急成長もいいところだと言ってよいでしょう。

その理由は、
中国で道路舗装の需要が依然として旺盛なのに、
日本や台湾のような先進地域では
道路舗装が飽和状態に達して、
石油精製の副産物として生産される
アスファルトに対する需要が一段落したからです。
そういうところに目をつけて
香港経由で輸入と販売をはじめたところ、
爆発的な需要に千載一遇のめぐりあいをして
大へんな勢いで利益をあげるようになったのです。

はたしてこういうチャンスがいつまで続くのか、
また好機とばかりに同業者が次々と割り込んだら
どういうことになるのか、という不安が伴いますが、
輸入品とはいえ、貯蔵タンクの設備や
船とトラックによる輸送手段の整備にも
かなりの資金が必要になります。
いまは需要に対応するのに精一杯で、
とても加工場をつくるところまでは手が届きません
というのがトップたちの応答でしたが、
ともかく2年や3年は倍々ゲームが続くことは確かなので、
私の周囲の人たちは1ドル以下からはじまって
2.2ドルまで買いすすみました。

前から話があったのだと思いますが、
その時点で、会社側から香港のさる基金(ファンド)に
1株1.1ドルで第三者割当増資をするという発表があり、
株価は一挙に1.70ドル台までころげおちてしまいました。
あまりに株主を無視したやり方なので、
うちのスタッフが
東京から電話をかけて抗議を申し入れたところ、
向うも
「ごもっともな話です。
 株主にも同じような値段で新株を割り当てるように
 証券取引所に申請しますから、しばらくお待ち下さい」
と文書で正式に返事がありました。
少なくともこの時点で
悪意のある人たちではないと私は判断しました。


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2006年10月6日(金)

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