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第2412回
官僚専制の退治がいよいよ幕開けか?

利権をめぐって最近では日本でも
知事や市長の首がとんだりしていますが、
中国ではむしろ日常茶飯事に属します。
日本では事件になる時は、
陳情者とゴルフをやったり、
料亭でご馳走になっただけでも起訴されていますが、
中国の場合はその百倍もタチが悪いと考えたら間違いないでしょう。
陞官発財(官位が上がってお金が儲かる)
という諺があるくらいですから、
役人の悪弊には何千年に及ぶ歴史があるのです。
私の関係会社でも或る時、
消防署の人たちが食事に来たのに、
幹部の人がいなくて、
会計が一般のお客並みに料金を支払わせたら、
2、3日して消防法違反を指摘されて
10万元(150万円)の罰金の通知がきました。
それを知ったレストランの総経理がびっくりして
消防署に駆けつけて平謝りに謝ったら
「じゃ3万元に負けてやるから有難く思え」
と言われたことがあります。
こんな話は中国じゅうどこにもころがっています。
具合の悪いことに消防署だけならいいのですが、
税務署からはじまって汚水の処理に至るまで
監督官庁が数えきれないくらいあるのです。
ビジネスをやる人はその応対に明け暮れているのが現状です。
科挙の制度も隋の昔からありますが、
役人の横暴はもっと昔から今日に至るまで、
何回王朝が変わっても、連綿と続いています。

そうした役人たちの気風が
歴史はじまって以来初めての高度成長を迎えて、
はたして改まるのかどうか、
これからが見ものと言ってよいでしょう。
十年前に北京の陳希同市長が槍玉にあげられましたが、
今回は上海市の陳良宇書記が書記職を解任されました。
上海市書記と言えば、中国で最大の都市をとりしきる権力者で、
これまで中央の実権を握ってきた上海閥と
密接につながっているだけに、
日本人が考えるよりもずっと大きな事件です。
単なる政争と見ることもできますが、
これが汚職に対する胡錦濤主席の大なただとすれば、
高度成長期に入った社会の要求を反映した
新時代の動きのはじまりと見ることもできます。
上海でそれができるなら、やがて足元の北京にも及び、
全国的な新しい流れになることも期待できるかもしれません。


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2006年10月17日(火)

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