中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2413回
中国に新しい時代がはじまる気配あり

胡錦濤という人にはあったことがありませんが、
遠くから見ている限りでは、
ご自分の理想や意見があっても、決しておくびにも出さず、
それを言っても実現できる時がくるまでじっとガマンをする
慎重な人ではないかと思います。
林尨にしてもそうでしたが、
独裁者のセカンドと目されている人は周囲からも嫉妬されるし、
ご本尊からはもっと疑いの目で見られるので、
途中で失脚する可能性が大です。
そうした困難に耐えて
トップの席に無事つくことができたのですから、
途中でこの人、何を考えているのだろうかと
首をかしげる人もたくさんいても不思議ではありません。
アメリカを訪問した時も新聞に
「Fu is who?」とひやかされたくらいですから、
よほど辛抱強い人であることは衆目の一致するところです。

現にトップの座についても、
言ったことが確実に実行できる立場に立つまでは
発言を控えていますから、
まだ半身くらいしか見えませんが、
その前任者とかなり違う哲学の持主らしいことは
だんだん見えてきました。
その第一歩が上海市書記の首切りだとすれば、
どこに経済発展のネックがあるか、
よく心得ていることがわかります。
とすれば、トップの役人から下っ葉まで、
どういう改革がはじまるかが
見どころということになる可能性があります。

もう一つは、台湾やチベットに対する対応の仕方です。
胡主席はチベット統治の責任者だったことがあり、
冷酷な扱い方をしたと批判する向きもありますが、
台湾に対する基本方針も
「武力開放も辞さず」から遥かに穏かな
「現状維持から出発して、もっと長い目で」に変わりましたから、
もう少し胡主席の地位が堅まったら、
ダライラマに対する扱い方にも
変化が現われるのではないでしょうか。

私は少し前に
中国が連邦制に発展するのではないかという
意見を述べたことがありますが、
経済の発展と共に、
中国が一番それに似合った体制に動く可能性は
少しずつ大きくなる方向にあると見ています。


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2006年10月18日(水)

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