中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2424回
中国では生命と物の保険を間違えないように

「中国人寿」という生命保険会社が香港市場に上場した時、
私はすぐに周囲の人たちに薦めたことがありました。
中国人寿は組織変えをしてまだ時間も浅く、
業績も資産もそんなにありませんが、
所得水準の上昇により
急に生命が惜しくなった人々の加入がふえるのと、
資産を運用する環境が好転して、
年々、大変な収益をあげることができる位置にいる
と見たからです。

いまから34年前、台湾が国連から脱退して大騒ぎになった時、
私は請われて亡命先の東京から台北へ24年ぶりに帰りましたが、
その時の台湾の保険会社国泰人寿の株価は
額面10元の株が20元あまりでした。
それが台湾経済の高度成長と共に
最高値は2000元台まで上がりました。
そして、オーナーであり、最大の株主でもある蔡家の当主は
世界の大富豪にランクされるようになって今日に至っています。

ですから、それと同じようなことが
中国でも起るだろうと予感したのです。
保険には生命保険(中国では人寿保険)と
火災保険(中国では人民財産保険)がありますが、
人寿保険と財産保険はまるで違った動きになります。
生命保険に入る人は長生きすることが主眼ですから、
保険をもらうために死ぬ人はごく僅かしかありません。
そうした人々から集めたお金は1人当り僅かしかありませんが、
何せ人口の多いところですから、
それを積み上げたら莫大な金額になります。
しかも、投資の対象になる土地も株も
上昇する方向にありますから、
どう考えても台湾で起ったことと同じことが起ります。

ところが、財産保険は
自動車ローンさえロクに払わない人が多いのですから、
乱暴なぶっつけ方はするし、
その修理代や賠償金を払うだけで大赤字になってしまいます。
同じ保険でもこれだけのひらきがあることは
中国人寿と人民財産保険の株価に見られる通りです。
このひらきは今後も縮少する方向にありませんから、
株を買う時は国民性をよく考慮に入れて
間違えないことが大切です。


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2006年10月29日(日)

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