中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2443回
成長株選びに重要な二つの条件

私はたまたま成長株の一例として製薬会社をとりあげましたが、
もとより製薬業だけが成長産業ではありません。
時代によってその時代にふさわしい成長産業があって、
社会条件が変わると、成長産業も変わります。

日本で言えば、ガチャマンが成長産業であった時代もありました。
石炭や海運が成長産業であったこともあります。
それが家電や自動車に変わり、
ITのハードが全盛を極めたる時代に移ります。
つまり時代によって成長産業が生まれ、
それが時代と共に変わるということです。

中国でも似たようなことが起っています。
とてもよく似たところもあるし、
環境の違いによる違いもあります。
ですからその違いを読み間違えないことがとても大切です。
共通していることは社会の新しい変化によって
社会が必要とする製品やサービスを提供する
業種に属しているということであり、
いずれも新しくはじまったばかりですから、
企業体としてはまだ幼いということです。

当然、屋根骨がまだしっかりしておらず、
一歩間違えると潰れてしまう可能性もあります。
したがって、会社の財務状態がちゃんとしているかどうか、
創業者の能力や人格も値踏みをする必要があります。
私がわざわざ会社まで訪ねて行って経営者に会ったり、
工場の中まで見てまわるのも、
そうした雰囲気の中から
会社の社風や健全性を探ぐり出したい
という気持があるからです。

ことしになってから、
私はそうした角度から
中国の上場株を改めて見直すようになりました。
経済の発展と所得水準の向上によって
どんなところに陽が当るかという点では
中国もかつての日本とよく似ていますが、
どこが一番違うかというと、
日本の企業が町工場から成長して大きくなったのに対して、
中国では私有財産の否定によって
国がでっちあげた国営企業の市場経済化から出発している
ということと、
個人主義、利己主義に徹した顧客を相手にしたビジネスである
ということです。
一見、何でもないことのようですが、
株をやる場合、とても大切なことなのです。


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2006年11月17日(金)

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