中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2444回
大株主が国である企業は成長株ではありません

ケ小平の改革開放政策が打ち出される前の中国は
生産も流通もすべて国営事業がやっておりましたので、
どうやって物を売るかについて
頭を悩ます必要はありませんでした。
万年物資不足で、
靴だって服だって配給にありつけたら有難く思え
という商売のやり方でしたから、
物が売れるかどうかを心配する必要はありませんでした。

ところが、自由市場ができ、商品が出回って、
お客が何を買うか選べる立場に逆転すると、
外国から進出した企業と脱サラではじまった中小企業が
お客に対応して
お客の欲しがる商品を提供するようになったので、
国営事業はたちまち淘汰の対象になってしまいました。
対応の悪い企業は赤字経営におちいり、
政府の命令によって同じく国営の銀行から融資を受けて
一時をしのぎましたが、
十年もたって見ると潰れる企業は潰れ、
吸収合併される企業は吸収合併されて、
国営事業で生き残れる企業は株を上場して民間から資金を集め、
何とか息をついている有様です。

なかでも製鉄とか石油とか、
その独占性を維持できている大企業は、
その特権故に高収益をあげていますが、
家電以下、消費者を相手に競争を強いられている企業は
浮沈の憂目に曝されています。
海運とか、資源、資材などの株は
その独占性故に辛うじて命脈を保っていますが、
大株主が国家ですから、役所の延長線上の経営であり、
経営を任されている人たちも政府の方を向いて仕事をしています。
したがってかなりの利益をあげた場合でも
平気で無配を続けたりしています。
それでも業績を見て、高い株価がついたりしていますが、
こういう企業は株主の役にも立ちませんし、
次の時代を背負う成長株にもなりません。

ですから成長株を選ぶ時は先ず大株主の欄をよく見て下さい。
大株主が政府とか政府機関であるような企業は、
役員が何回かバトンタッチをしているうちに
スピードがおちてだんだん冴えない会社になってしまいます。


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2006年11月18日(土)

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