中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2445回
成長株買いは子育て同様辛抱が必要です

成長株であるかどうかを判断する前に真先に考えることは、
それは社会が必要とするものであるかどうか、
そして、需要はかなりのスケールで
長期にわたってふえるものであるかどうかです。

たとえば工業化がすすむと、公害がふえます。
汚水の処理とか廃棄物のリサイクルは避けて通れません。
対処が遅れると環境汚染がすすみますから、
中国人の社会のように
自分たちの利益しか考えない人の多いところでは
政府が公の資金を使って
とりあえず最低の環境保全に力を尽します。
そうした汚水処理の施設は
かなりスケールの大きなものなので、
既に上場会社として株を売り出しているのが何社かあります。

私が成長株として
汚水処理、廃棄物リサイクルの企業をあげた時、
先ず条件として
(1)年に4、50%ていどの成長があること。
(2)役人の古手によって運営されている会社でないこと。
(3)事業が一地方に限られず、
全国的スケールで展開されていること、
と言った3つをあげましたが、
この条件を充たしている会社は残念ながら、
東江環保という深圳に本拠をおく
リサイクル会社1社しかありませんでした。

ほかに上海や天津にも似たような事業を手がけている企業が
いくつかありましたが、
いずれもお役人さん上がりの経営者によって
運営されている会社で、年に5%とか8%とか、
国全体の平均成長率よりまだ低い成長率しか
計画に入っていませんでしたので、
あわてて間違った株を買った人たちには
乗り換えをおすすめしました。
そう言った意味では環境保全の成長株は
いまのところまだ1社しか見つかりませんが、
成長株と言ってもあるレベルに達したら、
次の決算が出るまでジッと辛抱しているよりほかありません。
原則として多業種にわたる成長産業に分散投資をして
成長を楽しむというのが、
成長産業投資だということになります。
この場合も苛々せずに
じっと我慢の子を続けることは必要ですね。


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2006年11月19日(日)

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