中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2452回
広告は無から有を生む大事なポジションです

広告には途方もないお金がかかります。
それでも広告をしたがる企業があとを絶たないのは、
自分たちのつくった物を売りたい企業が
次から次へと出て来るからです。
どの企業も自分の売りたい物のことだけが頭にあって、
消費者が何を考えているのか、
何を欲しがっているのかにまで考え至りません。

その点、広告の神様クロード・ホプキンスは
先ず消費者の都合から出発します。
消費者に只で試食をさせたり、
突拍子もないショーをひらいて消費者の度肝を抜いたり、
今日なら珍しくもどうもないイベントを
次から次へとやっていますが、
消費者の動きだけでなくお金の動きをよく見ています。
たとえば販売促進をやると、
広告主は広告にもお金を使いますが、
販売代理店の要求にも応じようとします。
でもどこの会社も
両方に同時にプレミアムを振舞うだけの余裕はありませんから、
どちらか一方にとどめるようアドバイスしています。

これは職を選ぶ時にも言えることです。
彼がはじめて会計の職にありついた時は
このポジションでは昇給は難しいと覚悟しました。
会計の事務はお金を使う側の仕事であって、
会社の収入をふやす部門ではないからです。
社内で認められて
社長からセールスの仕事をやらないかときかれた時、
先ずセールス促進の仕事は引き受けましたが、
しばらくは会計職も兼任していました。
セールスに自信を持てるようになってから、
会計は他の人に譲り、
会社に収益をもたらす仕事に専念しましたが、
会社に儲けをもたらす仕事は
儲けがふえるに従って昇給につながったので、
最後にはオーナーと肩を並べるまでの高給取りになりました。
同じ仕事を選ぶ場合でも、
お金をふやす方の部門を選ぶのと、そうでないのとでは
こんなに差がついてしまうのです。

これはたくさんの人を使いながら、
私がいつも感じていることの一つです。
同じマネージメントでも、
会社に収益をもたらす位置にいる人は
その収益のお裾分けにあずかるチャンスに恵まれます。
広告は無から有を生む仕事です。
このポジションのつとまる人はお金の流れと縁があります。
ですから、しぜんに出世の最短距離におかれるようになります。
話はさておいて、
ホプキンスさんの本を一ぺん手にとって読んで見て下さい。


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2006年11月26日(日)

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