中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2461回
成長株買いだけが息の続く投資です

株で財をなす人は底値を買って高値をうまく売り抜けて、
その差をとった人のことではありません。
10回に1回くらいそういう離れ技ができたとしても、
いつもいつもそうは問屋が卸してくれません。
私は30何年前に台湾で
ディーラー専業の証券会社のオーナーをつとめたことがありますが、
私がほとんど売り買いをしないので、
取引所に派遣した社員たちがあくびに耐えられなくなって
「100万元だけ僕たちに運用を任せてみてくれませんか」
と全員で頼みこんできたことがあります。

「必らず立派な成績をあげて見せますから」
と本人たちは自信ありげでしたが、
私は不本意ながら、
「じゃやって見てごらん」
とやらせてみました。
ザラ場を見ていると、
うまくやっているチャンスがいくらでもあるし、
なれておれば口銭くらいの稼ぎは何でもないように見えます。
でも三日もすると、売買がストップしてしまいました。

お客さんの売買を扱っている分には、
損をするのもお客さんの負担ですが、
自分たちの仕入れた分が予想に反して値下がりすると、
売るに売れなくなるから、
途端に取引がストップしてしまいます。
一週間たっても値が恢復せず、
あきらめて損切りをすると、
同じことがまた続けて起るのです。
1ヶ月あまりで早くもお手上げになってしまいましたが、
プロの人がやってもそうですから、
どんな才能のある人でも
今日買って明日売るようなことをくりかえして
金持ちになれるとは私にもとても思えません。

成長株買いとは、パイが全体としてふくれあがって行く過程で、
もっとも分け前が大きくなりそうなパイはどれだ
といって探がすゲームです。
株価の方が先廻わりをして分け前の方が遅れることはありますが、
分け前が続けてまた増えそうな方向にあれば、
株価は更にもう一段上がります。
私の知っている人でソニーがまだ東通工と言われていた時に
おつきあいでソニーの株を
千株5万円で買ってずっと持っている人がおりましたが、
死ぬ時は10億円になっていました。
どうして売り抜けようと考えるのでしょうか。


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2006年12月5日(火)

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