中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2483回
ファンドに私の出る幕はありません

投資ファンドが大へんな勢いでふえて、
日本でも参加者を募集するようになることは目に見えています。
日本の銀行や証券会社もおいおいそういう方向に動くでしょうが、
護送船団的な経営をしてきた日本の金融機関が
アメリカの投資銀行に伍して
企業買収ビジネスに出ることはかなり難しいでしょう。
むしろアメリカのそうした業界で活躍した日本人が独立して
ファンドを組織する方が実現性があるように思えます。
しかし、その場合でも
益々巨大化する買収資金の調達が問題になりますから、
村上ファンドに続く日本的企業買収で
お茶を濁すことが精一杯でしょう。
アメリカの投資銀行に比べると
かなり見劣りすることは避けられそうもありません。

私たちのように、
小なりといえども自分の資本で、
自分なりの投資をしている人間はそうした動きに
どうかかわったらいいかという問題は残っています。
実は私も「株の神様」とニック・ネームをつけられた頃は、
ご自分で投資信託をやったらどうだ、
でなければ株式情報誌をつくったらどうだと盛んに勧誘されました。
結局、最後まで拒否し続けましたが、
私の場合は成功した時よりも、
うまく行かなかった時のことが頭を離れなかったからです。
40年も前のことですが、
「いくらお金を集めればいいのですか」
とプロの人たちにきいたら
「とりあえず30億円ではどうですか」
という答えが帰ってきました。

「じゃ30億円を運用して、
30億円儲けたとします。
私の取り分はいくらですか」
「1割の3億円じゃどうですか」
そう言われたので、私は即座に、
「そんな報酬をもらうくらいなら、
自分のお金を3億円出して倍にする努力をします。
うまく行かなくとも眠れない夜を明かしたり、
人にバカにされないですみますから」
と答えました。
結局、他人のお金を使ってイチかバチかの勝負に出ることが
私の性に合わなかったのです。
いくらファンド・ビジネスが盛んになっても
私の出る幕はないことがおわかりいただけると思います。


←前回記事へ

2006年12月27日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ