中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2496回
中国の家電メーカーは原料高の製品安に?

中国もいよいよ本格的な高度成長に突入しつつあるので、
企業の業績にいままでと勝手の違う動きが出てきています。
それを読み違えると、思い通りに株価が動いてくれませんから、
アブハチとらずに終ってしまう心配が出てきました。
人様にアドバイスしているのではありません。
自戒の気持で自分に言いきかせているところです。

たとえば、家電ブームがはじまった頃、
どこの家でも、
テレビや冷蔵庫やクーラーを欲しがりましたので、
収入も少く、電気製品を買うだけでも大へんだったのに、
電気製品がとぶように売れたので、
家電メーカーは年々大へんな勢いで売上げをふやし、
株価も大へんな高値をつけました。
私の知り合いの中にはテレビ・メーカーの株を買って、
アレヨアレヨと思っているうちに10倍にも値上がりをして、
その時の儲けで大邸宅を建てた人もおります。

しかし、中国人の平均所得が
10年毎に3倍にあがるということが2回も続いたにも拘らず、
家電製品の大量生産がそれを追い越してしまい、
「原料高の製品安」がテレビ・メーカーの利益を
新型テレビよりももっとずっと薄いものにし、
どのメーカーの株価も
限りなく額面に近づく方向に向かっています。
付加価値の高い工業製品をつくっているからと言って
決して油断ができないのです。

家電メーカーが次に手がけたのは携帯電話でした。
中国では有線電話の普及をとびこえて、
携帯が既に3億個をオーバーしています。
携帯電話はまだふえる余地があるのと、
機能に次々と大きな進歩があるので、
すぐには天井を打たないでしょうが、
いずれ家電製品と同じ運命にさらされる可能性は強い
と見なければなりません。

そういうことが人々の頭の中にあるので、
携帯電話のメーカーは成長産業でありながら、
既に成長産業のラインからはずされています。
日本の家電メーカーだって次々と新製品を手がけていますが、
似たような宿命を辿ることがないとは
言いきれないのではないでしょうか。


←前回記事へ

2007年1月9日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ