中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2509回
日本と違う中国の広告事情

日本はNHKを除けば、
新聞、雑誌、ラジオ、テレビすべてが民営です。
民営事業は広告収入を得ることによって経営が成り立っています。
新聞や雑誌は
購読料をもらうことによって成り立っている面もありますが、
広告収入に依存する比重が日増しに高くなって、
その大半が広告料なしではやって行けなくなっています。
ですから子供でもコマーシャル・ソングを口ずさんでいますし、
広告とは何かくらいのことは知っています。

ところが、私有財産を固有化して、
生産も分配も国の一存で決めるようになった中国では
半世紀以上にわたって広告の存在を認めませんでした。
というよりその必要がなかったのです。
ですからすべての媒体が役所によって牛耳られ、
その管理下で運営されてきました。
テレビができ立ての頃は
そもそもコマーシャルというものがなかったのです。
それが社会主義市場経済化によって、
できてきた商品を国が配給するのではなくて、
消費者が選択する形に逆転すると、
広告の必要が起ってきました。
テレビ広告もはじめは恐る恐るでしたが、
上からクレームがつかない限りテレビ局の収入になるので、
だんだんコマーシャルがふえて今日に至っています。

しかし、日本と抜本的に違うのは
すべてのテレビ局が官営でいくら収入があっても、
広告を担当している担当者たちのポケットに入らないので、
セールスに力が入らないのと、
広告料金が異常に安いまま放置されていることです。
特に日本と最も違うのは
日本の広告マージンが20パーセントあるのに対して
たったの5%しかないことです。

広告料金が安いことは
フェニックスのような私営テレビ局に大きく影響します。
そして、マージンが5%しかないことは、
製薬会社の90%と違って、
広告会社がテレビ広告に手を出す意欲を萎縮させる
原因になっています。
こういう実情を知らない日本人の投資家たちは
なぜ中国の広告会社がテレビ広告に手を出さないのか、
しきりに首をかしげるのです。


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2007年1月22日(月)

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