中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2510回
戸外広告は広告屋の黄金の卵です

いま中国の広告会社では
テレビ広告のエージェントを進んで開拓するどころか、
撤退している働きの方がより多く見られます。
日本人の感覚からすると、逆戻りのように見えますが、
中国人が宝の山を前にして後ずさりをするわけがありません。
テレビ局に虎は棲んでいるけれど、
宝の山がないことに気づいているからです。

広告を必要とする社会的需要はふえる一方なのに、
どこでそれを実現できるのか模索を続けているうちに
やっぱり戸外広告かというところまで
辿りついてしまったのです。
中国に行って飛行機を下りて
町にまで行く途中で最先に目につくのは、
道の両側にズラリと並んだ大きな立て看板の広告です。
ついで繁華街の街並みにズラリと続く屋外広告です。
あれ簡単にできる広告だと思うのも間違いなら、
安くできると思うのも間違いです。
上海で「永漢日語」という小さな広告を
電信柱の脇に出していますが、
月に3万元(45万円)を地元の広告屋に払っています。
成都のイトーヨーカ堂の真ん前に
キヤノンの大きな看板がありますが、
広告料金は年300万元(4500万円)とききました。
また私の知っている台湾の衣料メーカーが最近、
上海の地下鉄の入口に建てた立て看板は
年に150万元払っています。

立て看板はそこを通る人にしか訴えられないのが欠点ですが、
広告屋にとって「黄金の卵」になっています。
ですからタカが立て看板などとバカにしてはいけません。
どんな広告の収入が大きいかは国によっても違うし、
広告を見る人の馴れの問題もあります。
私が中国の広告業者を調べて目をつけた
中国で2番目の「大賀伝媒」の
董事長さんにはじめて会った時、
「メインの収入は何ですか」ときいたところ、
「それはやっぱり屋外広告ですよ」と即答されました。
大賀の屋外広告は全国の20%を占めているそうですから、
それがベースになって、次はどう展開するかが
広告界における地位を決定することになるのです。
国によってどういう展開をするかに違いがあるので、
日本の物差しだけで測ろうとすると間違えます。


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2007年1月23日(火)

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