中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2522回
地方に身の置きどころがなくなる

地方自治体も再編成を迫られていますが、
地方の地盤沈下が激しくなったことは、
地方に住んでいる人にとっては死活の問題になります。
一頃、都会生活に疲れはてた人たちの中に、
あわただしい生き方をやめて
帰農でもして田舎で静かに暮らしたい
という動きがありましたが、
百姓をやったのでは生計を立てるのも難しいし、
子供の教育にも支障が起るので、
大きな流れにはなりきれないで
尻つぼみになってしまいました。

それが地方都市から工場も引きあげるとなると、
地方での就職口もなくなるし、収入の道もとざされます。
工場で働く仕事がなくなると、
それだけ収入も減りますから、商店街の売り上げもおちます。
大へんな勢いで地方都市に支店をつくったスーパーや銀行も
あっという間に店を閉じてしまいましたので、
商店街は灯が消えたように
さびれたところが多くなってしまいました。

追い討ちをかけるように、
農産物も海外から安値の商品が
輸入されるようになりましたから、
都会地への出荷がままならず
地方の農業も稼ぎのふえる方向にはありません。
となると、地方でいくら商売換えをしても、
お金の流れ全体が先細りの方向にありますから、
家業を継ぐどころか、店番は年寄り夫婦に任せて、
若者たちは息子も娘も、新しい職を求めて
再び大都会に向って動く形になってしまいました。

人は職を求めてお金の集まるところに集まりますが、
人が集まるとお金は更に人の集まるところに動きます。
すると、かつて高度成長期に起ったようなことが、
国際化の時代に入ると、もう一度、同じように起ってきます。
さして仕事があるとも思えない大都市集中と、
その一部が海外に流れるということが同時に起ります。
その分だけ地方の再過疎化は避けられなくなります。
地方に住んでいる人ほど
ボーダーレスによる影響を大きく受けますから、
地方に住む人は
自分の身の置きどころに真剣にならざるを得なくなるのです。


←前回記事へ

2007年2月4日(日)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ