中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2523回
地方に行くほど引っ込み思案の人が多い

ボーダーレスによる影響には地方と
中央の違いがあるわけではありません。
地方も中央も大きな影響を受けますが、
中央は人口も多いし、仕事場も多いし、
商売が成り立たなくなれば、転業のチャンスも多い。
また生産基地をそのままゆっくり海外へ移すことも可能ですから、
いくらでも対応の方法が考えられます。

その点地方ではほとんど身動きがとれません。
仕事を変えると言っても、人口が少ない上に、
使うお金も減る方向にありますから、
新しい商業がなかなか軌道に乗らないのです。
農家ではもう何十年も前から
親の後を継ぐ人がいなくなっていますが、
地方都市の商店街でも似たような現象が起っています。
人口のふえるどころか、
経済の成長がはじまっているところに行かないと、
新しい仕事はないし、
したがってメシのタネにもありつけないのです。

ところが、不思議なことに
地方に行くほど若い人でも引っ込み思案になるのです。
かって私は同じく脱サラをやるのなら、
東京や大阪でやるよりも、
上海とか北京でやった方がチャンスが多いと言って
海外進出を進めたことがあります。
その場合、手に職を持って行けば鬼に金棒だから、
トンカツの職人になる修行をしたらどうだ、
その気があれば修行するところも
紹介してあげようとこの欄で書いたことがあります。

そうしたら、
地方の青年からぜひお願いしますと申し込みがありました。
私自身のトクになることではないのですが、
有名なトンカツ屋のオヤジさんにお願いして引き受けてもらったら、
本人は周囲に反対されたからやめることにしましたと
逆に断わってきました。
周囲に反対されたくらいでやめるのなら、はじめから、
外へ出ることなど考えなければいいのです。
そういう引き込み思案の人だけが残っているのが地方であり、
そうした地方の意見の代表者が政治家だということになります。
これから日本で世界に出て日本を代表するような活躍をする人は
地方の場合は地方に叛旗をひるがえして
脱出する人たちだけということになります。


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2007年2月5日(月)

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