中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2528回
日本の株式市場は先烈のあとに続く

低成長になると、新しい商売をやるのが難しくなります。
いままでやっていた商売のスケールを更に拡げて、
売り上げや利益を伸ばすのも難しくなります。
すると、株価を押し上げられなくなりますから、
株式投資の仲介や株式の運用をしている会社は、
経済の成長期と一味違った営業方針に切りかえなければ
業績をあげられなくなります。

アメリカでは一般投資家のお金を集めて株の運用をする
投資信託が生産事業よりも盛んになりましたが、
値上がりしそうな株を探がすだけでは間に合わなくなったので、
集めたお金で
低空飛行をやっているような効率の悪い企業を買収して
トップの入れ替えまでするM&A、
即ち企業買収がハヤるようになりました。
日本の経済環境も成長の全盛期はとっくにすぎて、
だんだんアメリカに似てきましたので、
投資信託が株式投資だけでなく、
企業買収に力を入れる方向に動き出しています。

王子製紙の中越製紙に対する王手は同業間の買収合戦でしたが、
村上ファンドの株買い占めや
ライブドアのフジテレビに対する株集めは、
これから日本で起る「お金の戦争」のハシリみたいなものです。
アメリカの基金による日本企業の買収は
過剰投資で不振におちいった不動産会社や
倒産まで追いこまれた銀行からはじまりましたが、
株式ブームで一山こえたところで、
これから本番に入るのではないでしょうか。

いまの日本経済環境では消費を押し上げるだけの活力がないので、
このまま放任しておくと
株式市場はまた元の黙阿弥に戻ってしまいます。
それは政府の望むところでもないし、
経済界にとっても困ることですから、
どこかで一鞭くれてやりたいところです。
となると、企業を活性化して
新しい富をつくり出すM&Aが公認される雰囲気が
徐々に生まれてきます。
先覚者は司直に問われましたが、
「先烈」という言葉があるように人より一歩早くとび出すと、
頭を石にぶっつけるものなのです。
でもそうした動きが起らないと
株式市場がもたなくなる時がもうそこまで来ているのです。


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2007年2月10日(土)

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