中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2549回
2億人のニュー・リッチを狙え

新聞を見ると、
「中国で貧富の差が益々激しくなった」
とよく書かれていますが、
それは産業の発展によって
うまくその波に乗った企業のオーナーたちと、
それとうまく結託した汚職役人たちの
派手な生活が目立つようになったからです。
そうした人たちは人口の4.2%を占めており、
就労人口7億4千万人のうち
約3千万人くらいだと計算されています。

ところが、この1、2年、
産業界の発展によっていわゆる中間層が急激に成長し、
上海、北京、広州などの産業と文化の発展した地域では、
1人当り4千ドルの所得があるようになり、
消費に一挙に大きな変化をもたらすようになりました。
マイカーがとぶように売れ、
不動産は値上がりをするし、
海外の有名ブランドの店が軒を並べるようになりました。
一握りの富裕層だけでなく、
中間層の購買力が物を言うようになったので、
国全体で見た場合、
人口の15%にあたる
2億人の人が消費の対象に数えられるようになったのです。

2億人ということになれば、
人口減少に悩む日本の総人口よりもまだ大きな消費人口だし、
しかもその購買力がこれから年々拡大するとあっては
目を離せないどころの騒ぎではありません。
これらのニュー・リッチを対象として
ビジネスが世界一のマーケットに
突如として浮びあがってきたのです。
「日経ビジネス」誌でも報道されていましたが、
伊勢丹の天津に新設されたデパートでは
エルメスが最も人気を集め、
これまで中国の購買層に合わせて商品の構成をしていたのが、
現地の総経理さんによると、
これからは遠慮せずに
日本と同じ品揃えにかえる方針だそうです。

いずれこういうことが起ることは予想できることでしたが、
これが現実になって見ると中国は単なる
「世界の工場」から「世界最大の消費市場」
への道を歩くことになります。
中国で生産して世界に売る企業進出から
中国市場を対象とした企業進出へと
方向転換することになりますが、
最初から国内市場も視野に入れて進出した企業にとっては
笑いの止まらない環境になりつつあると言うことです。


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2007年3月3日(土)

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