中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2578回
消費経済より過剰流動性の方が心配

GDPが3千ドルを超えるようになったら、
本格的な消費経済に突入するから、
中国も沿岸都市を先頭に
消費経済の時代に入ることに就いては、
皆さんの耳にタコができるくらい何回も強調してきました。

そもそもそこまで到達するためには、
ある程度の工業化がすすみ、輸出が輸入をオーバーして
国際収支が黒字の方向に進んでいることが
条件の一つになります。
中国が「世界の工場」と認められるようになったことが
中国に貿易黒字をもたらすようになったのです。
それは中国が国際的にお金を儲けるようになったことですから、
中国政府がこういう千載一遇のチャンスを
しっかり握りしめて離すまいと思ったとしても
不思議ではありません。
日本もかつてはそうだったのですから。

しかし、貿易黒字が定着した上に、更に輸出に拍車がかかると
、赤字になった国は黙ってはおりません。
輸入をふやせと圧力もかかりますが、
それ以上に為替相場の訂正を要求してきます。
人民元を切り上げて
貿易収入のアンバランスを是正できればいいのですが、
輸出でお金の儲かりはじめた国は
どこも必らず猛烈な勢いで抵抗します。
あたかも折角、手に入れたチャンスを
相手に奪いかえされるような錯覚を起してしまうのです。

実際はそのまま放置しておけば、
赤字国だけでなく、黒字国はもっとひどい目にあいます。
輸出代金を外貨でもらうと、
輸出した企業はもらった外貨を人民元に換えなければ、
支払いができません。
そのために外貨のふえた分だけ政府が人民元を発行すれば、
人民銀行は手に入れた外貨で
アメリカの国債などに投資して
莫大な利息を稼ぐことはできますが、
代わりに発行した人民元が大洪水になって
国内の物価を押し上げます。
物価も押し上げますが、
急増した人民元は不動産や株などの資産に投じられて、
いわゆる資産インフレをひき起こします。
通貨の過剰流動性が
中国国内の物価や資産に大異変をもたらすのです。
こうした過剰流動性が惹き起す副作用の方が
ずっと大へんなのです。


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2007年4月1日(日)

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