中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2590回
株の世界も「忠ならんと欲すれば孝ならず」

昨年のはじめ頃、私は
「ことしは産業界の機関車の役割をはたす業種が見当らないが、
年間成長率は依然、衰えを見せないから、
こういう時は産業界と万遍なくつきあって
儲けのおすそ分けにあずかる銀行と保険会社が
いい思いをするんじゃないか」
という理由で、
「金融業に注目を」と皆さんの注意を喚起しました。

でも途中から消費経済がもたらす
お金の流れの新しい変化に気がつき、
「中国もいよいよ成長株の時代ですね。
その目でもう一度、物を見るアングルの修正をして下さい」
と人にも言い、自分にも言いきかせました。
そのきっかけになったのは、
「新車でお金儲けをするのは
どのメーカーなのか見当がつかないが、
毎年、何百万台かポンコツ車が
新しく誕生することは間違いない」
という理由で、中国のオートバック・セブンにあたる
「新焦点」の工場を見学に行ったのがきっかけになりました。

そうした角度から見ると、スケールはまだ小さいけれど、
未来の成長業種に数えられる銘柄が
次々と目に浮かんできます。
先ず環境汚染が目にあまるようになったので、
水処理、廃物処理の銘柄、
続いて道路工事の盲点にある銘柄、
製薬業界のニューフェイス、
バイオの先端を切る食品関連、
そして、消費経済の展開になくてはならない広告業界と
いくつかの小型成長株に目をつけました。

実はそのどちらも間違いではありませんが
誰でも自分の持ち合わせている資金に限りがあります。
保険株・銀行株がいいぞというまでならいいけれど、
次は成長株だぞと言えば、
金融株を売らなければ、元手がありません。
そう考えて金融株を売ったら、
年の暮れにかけて
日本を引き揚げた世界を駆けめぐる投機資金が
ドーッと香港や(投信を通して)上海株にも流れ込んだので、
すんでのところを大魚をとり逃がした人もおりました。
私は元手を回収したあとの只の株は残しておいたので、
「残り物の福」に
少しばかりはあずかることができましたが…


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2007年4月13日(金)

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