中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2595回
常識で考えられないことが起りそう

中国政府が先頭に立って
輸出主導から消費中心の経済に舵取りをするといっていますが、
そうしなくとも所得水準の上昇によって
自然にその方向に動くでしょう。
でも、それによって輸出が減少することはあまり期待できません。
輸出で成り立っている企業は
どうやったら自分たちに不利な環境に打ち勝って行けるか、
必死になって努力しますから、
かつての円高下の日本の企業が、省エネと省力で円高に立ち向い、
むしろメイド・イン・ジャパンの実力をフルに発揮したように
中国企業も中国の安いコストで
日本に負けない技術水準を達成する努力をすることが考えられます。
現にいま中国では、
日本と中国の中間にある韓国メーカーの製品が広く受け入れられ、
自動車でも携帯電話でも大へんな人気を呼んでいますが、
「中国のコストで、日本に負けない品質」
が輸出メーカーたちの次の目標になりつつあります。

したがって、アメリカが不況になったとしたら、
メイド・イン・チャイナが排除されるのではなくて、
むしろその安さと品質の向上によって
アメリカ経済に生じた新しい隙間を
埋め合わせるようになることが考えられます。
このまま人民元切り上げの方向に向ったとしても
なお貿易黒字が続くとなると、
過剰流動性と人民元の切り上げによる収入増が
今後もずっと続くことになり、
資産インフレにブレーキがかからなくなるおそれがあります。

だからと言って、まさか全産業にストップをかけるような
金利の引き上げを強行するわけにも行きません。
増え続ける人民元の大洪水を調節しようとすれば、
最終的には、
人民元の為替レートを変えるよりほかなくなるでしょうが、
そうなった場合、
どんなことが起るか考えることももちろん大切です。
でも、そうなるまでに中国経済にどんな変化が起るか、
また自分の財産や投資がどういう位置に動くのか、
考えることが先ず第一です。
とにかくこれまでの常識を物差しにして測っても
ちゃんとした答えが出ないかも知れないところまで
来てしまったのです。


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2007年4月18日(水)

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