中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2596回
あなたのポケットの中を見せて下さい

これから中国で猛烈な過剰流動性が巻き起こるのを
防ぎきれなくなって、
不動産と株の値上がりがはじまることは
まず間違いないと私は見ています。

それと同時に、併行して消費経済にも突入しますので、
経済の成長にブレーキがかかるどころか、
成長に拍車がかかって、先ず人手不足が表面化し、
物価の上昇と共に、所得水準も上昇する方向に向います。
常識的な言い方をすれば、
かつて中国四千年の歴史で中国人が経験したことのない
空前の好景気が訪れるということですが、
豊かになる人とそうでない人がかなり入れ替わるので、
階級も大きく入れ替わるし、
全体として豊かになった分だけ人民の発言権が強くなって、
政府や役人の権力に後退の兆ざしが見られるようになります。
役人になって権力者の座につくよりも、
事業に成功した金持ちになることを目指す人がふえますので、
役人が魅力のある職業でなくなることは
先ず間違いありません。
中国の民主化は
革命や反政府運動によって起るのではなくて、
各人のふところに入るお金の変化によって推進されるのです。

私は台湾で
「お金による民主化」が起るのを
目の当たりに見ているので、
中国でもきっと同じことが起るだろうと確信していました。
日本では
「いまに反政府ムードがまき起こって、
人民政府の崩壊がはじまる」
という見方ばかり目につきます。
これで反日ムードの終わりを期待する方に無理がある
というよりほかありませんが、
実際にこれから中国で起ることは
武力による革命ではなくて、
豊かになることによって政府が変質することです。
ちょうど5年毎にトップが入れ代わるのを1つの節目にして
世論を動かす力にも大きな変化が起りますが、
それを推進しているのは人々の物の考え方というよりは、
人々のポケットに入るお金の大きさです。
「あなたのポケットの中に入っているお金を見せて下さい。
そうしたらあなたの考えていることをあてて見せましょう」
とバルザックも言っていましたが。


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2007年4月19日(木)

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