中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2607回
常識をこえるお金の大洪水です

ここのところ、何回にもわたって
過剰流動性による資産インフレが起ることは
避けられそうにもない話をしてきました。
2月の中国貿易の黒字が
237.6億ドルにものぼったことを私が例にあげると、
「3月は逆に激減しているじゃないか」
と反論した人もあります。
むろん、景気の波のことですから、
一進一退あることは私も承知しています。
大きな波がくれば、次は小さな波になりますが、
問題は満潮の方向にあるのか、
それとも引き潮の方向なのかということです。
満潮の方向にあれば、波はだんだん大きくなるし、
それが突然の地震による大津波になって猛然と襲いかかってくれば、
潰滅的な被害をもたらすこともあり得ます。

自然現象の場合だって、地震のある度に警戒警報は出ます。
その指示に従って避難ができればあまり問題はありません。
ところが、過剰流動性の兆候が見え、
上から下まで逃げ支度をしていても、
いつ何が起るかわからない上に、
もう大丈夫と思った途端に津波に襲われるようなことも起ります。
日本でそれが起った時、
最も深刻な誤ちを犯したのが
ほかならぬ宮沢さんと三重野さんでした。
時の総理と日銀総裁が見当違いの対策をしてしまったのですから、
同じように未経験の中国のトップの人たちが
前車の轍をふまないという保証はありません。
なぜならば、よその国を襲った津波が
同じスケールで襲ってくるのではなくて、
いままでの私たちの常識で考えられないようなことが
不意討ちに起るのがお金の大洪水だからです。

お金が洪水のようにドッと溢れてくるのなら、
不動産を買え、銀行株、保険株を買えと
人は反射的に対応策を考えます。
でも必らずしもその通りにならないこともあるし、
うまく逃げた積りでも、逃げた先に災難が待っていることもあり、
逃げなかった方が却って無事だったということもあり得ます。
要するにどんなに智恵を働かせても
計算通りに行かないのがお金の大洪水なのです。


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2007年4月30日(月)

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