中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2608回
外貨減らしは海外資源への投資から

過剰流動性が起るのは人民元が溢れるようになるからです。
そうなる原因は主として貿易黒字が急増して、
外貨が貯まりすぎるからです。
それならば、人民銀行の持っている外貨を減らせばいいじゃないか
ということになりますが、
それがそう簡単にはできないのです。

日本の場合は、外貨減らしのために、
保険会社に米国債を買わせたり、
民間企業に都市銀行や地方銀行を通じて、
外貨の貸付けをして海外投資を奨励しました。
日本の企業は輸出によって外貨を稼ぐコツは覚えましたが、
海外投資には全く不馴れで、
国内における資産インフレをそのまま海外に敷衍(ふえん)して、
大半の外貨をアメリカの不動産に投資して
失う結果になってしまいました。
狭い日本にだけ起った土地神話が
そのままアメリカにも適用できると早合点して
泥沼の中に稼いだ大金の大半を流し込んでしまったのです。

中国の指導者たちは
日本のそうした失敗を目の当りにしていますので、
むろん、その二の舞をやるまいと身構えています。
しかし、次々と貯まってくる外貨を
減らさなければならない立場におかれていることに
変わりはありませんから、
委員会まで設けて如何に外貨を効果的に使うかについて
真剣に取り組んでいます。

その第一弾は中国の経済発展に必要な資源を確保するために、
石油とか鉄鉱とか金鉱とか、
その他の工業原料の供給源を押さえにかかることです。
もともと中国の大企業は国が半分以上の株を持っており、
また経営者も国によって任命されていますから、
そうした大企業に莫大な資金を融資して
海外の資源開発事業に出資したり、
開発権の譲渡を受けるように働きかけています。
日本の石油会社と違って、
中国の石油会社は採掘から精油、販売まで一貫作業でやっています。
それも、隣接諸国だけでなく、
オーストラリアやカナダやアフリカにまで手を伸ばしています。
このへんのところは中国政府の方が
日本政府よりずっと利口な動きをしていることは
ごらんの通りです。


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2007年5月1日(火)

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