中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2609回
先進国の企業買収が後発中国の泣き所

外貨減らしはいまや中国政府の最大のテーマの一つです。
急速な経済の発展によって
資源の不足をきたすことは目に見えているので
海外の資源に投資する必要に迫られているという現実があります。
しかし、その場合でも投資先によって反応は一通りではありません。
中国より開発が遅れている旧ソ連の国々とか、
ミャンマーやタイやベトナムなどの東南アジアの国々とか、
アフリカの更に後発の国々では
海外からの投資は
富の開発と雇用のチャンスをもたらしてくれるプロポーズですから
大抵は抵抗なく迎え入れられますが、
欧米の先進国になると、
国防上の理由とか、政治的な理由で
門前払いをされることも珍しくはありません。

それでも世界の経済地図は
少々時間がたてば大きく塗りかえられますが、
その程度のことで中国の外貨減らしの問題が
片づく見込みはありません。
恐らく資源産業への投資だけでなく、
アメリカやヨーロッパや日本の企業買収も含めて
先進諸国への企業進出、
それもM&Aによる企業買収が
次から次へと起ってくることが考えられます。
レノボによるIBMのパソコン部門の買収は
そのファースト・バッターにあたりますが、
いままで地球上に起っている動きと逆の動きですから、
あッと世界中を驚かせました。
恐らくこの形の国際的な企業買収は
今後も後に続く動きがあるでしょうが、
それが成功するかどうかは
もう少し時間がたって見ないと答えは出てきません。

きくところによると、
中国人による後進国への進出にはあまり問題はありませんが、
先進国への進出は必らずしもスムーズに進展していないようです。
貧乏国なら札ビラで頬っぺを叩けば、
こちらの思い通りに働いてくれますが、
アメリカやヨーロッパではそうは行きません。
レノボのトップが北京ではなくて
とうとうアメリカに常駐するようになったのを見ても
いま先進国の企業買収で何が起っているか想像がつきます。
これが「アジアの時代」に至る過程で
追い越す側の泣き所になっているところだと私は見ています。


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2007年5月2日(水)

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