中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2611
大型増資の口車に乗る人、乗らない人

空前の金あまりが起れば、
お金の値打ちがなくなるのを怖れて、
人々はお金を値打ちのある物に換えようとします。
値打ちのあるものとは大雑把に言えば、
不動産と有価証券と書画骨董などの美術品ですが、
不動産と美術品はかなりまとまったお金がないと
手を出せませんので、
手っ取り早い投資先は有価証券即ち株式投資となります。

ちょうど株主総会の主催をするために台北市に立ち寄ったら、
台湾の大新聞が中国株のブームを取りあげ、
この数ヶ月で口座をつくった人が1千万人もふえたことを
大々的に報じていました。
人口の多いところですから、
新しい現象が起ると、
1人当り小さなお金でも忽ち洪水のようになってしまうのです。
それこそ1人が1万元買ったとして1千万人になると、
たちまち天文学的数字になってしまうのです。

そうした天文学的数字の資金を吸収するために
株券で応ずるとなれば、
天文学的数字の株式を発行しなければなりません。
流れ出る資金を減らす一方で、
流れ出る資金を吸収するためには
大型増資でそれに応じなければなりません。
幸か不幸か中国の大型株は政府が大株主で、
経営権も政府の手中にあるので、
大型株の大型増資と大型株の新規上場で、
過剰流動性にストップをかける動きが既にはじまっています。
中国石油の大型増資は一ぺんに100億元を越えますから、
それに似た増資を次々とやれば、
かなりの現金が株券に変わります。

しかし、新規に集めたお金で新規の事業に投資をしても
利益をあげるまでにかなりの時日が必要だし、
失敗することも考えられます。
結果的には大型優良株の利益を水でうすめることになりますから、
株価の値上がりにストップをかける効果があります。
お金の値打ちも下がりますが、
株価の上昇にもストップがかりますから、
はたして投資家がその口車にうまく乗るものでしょうか。
大型増資も私が
「これから何が起るかわからない」
という常識破りの1つに入ると私は見ています。


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2007年5月4日(金)

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