中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2623回
使い捨て医療用品メーカーの株価が高いわけ

今度の山東省旅行で思わず目を見張ったのは
山東威高という使い捨て医療用品メーカーの工場まで
足を伸ばした時のことでした。
烟台には前にも行ったことがあって、
張裕ワインを見せてもらったこともあるので、
同行の皆さんを案内する予定だったのですが、
ワインは飲むもので、見るものではないと思いなおして
俄かに予定を変更して、
烟台から更に1時間あまりも足を伸ばして
威海まで出かけて行ったのです。

この変更は大当たりでした。
まさか山東省のこんな尖端の先の先に
こんなスケールの大きな使い捨て医療用品の生産工場があるとは
思ってもいませんでした。
株式情報誌の資料を見ると売上げも利益も順調に伸びているし、
1年で資本金を越えるだけの利益をあげているので
高収益の会社であることはわかりますが、
たった0.033人民元の配当しかやっていないので
かなりしみったれた会社だなという印象しかありませんでした。
そんな株がどうしていきなり
4元台から14元まで大暴騰したのか
理由がわかりませんでしたが、
本社工場を見学してやっと腑におちました。
高収益の体制が整ったのはついこの2、3年で、
アメリカの心臓機器のメーカーが
11元でこの会社の株に3千万株も投資したのです。
何しろ人口の多い中国で
使い捨ての注射針や点滴器具を生産しているのですから、
1年で消費される量が億単位になります。
しかも薬の価格が政府によって規制されているのに対して
ここの製品は大目で見られているので、
1元売ると70銭儲かるそうです。

いま生産している血液関係製品だけでも
年に倍に及ぶ売上げ増が期待できるのに、
その上、人造骨と心臓関係の機器が加わったら、
大へんな高成長が見込まれ、
まだ駆け出しですが、
日本のテルモはだしの大成長をとげる
潜在力を身につけるようになったのです。
但し、もう既に14元という高値の株価をつけているので、
手を出しにくい水準にあります。
どう判断するかは同行した人たちに任せることにしますが。
「高い株ほどよく上がる」
の部類にいずれ組入れられる株であることは間違いありません。


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2007年5月16日(水)

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